卒業生・修了生の皆様へ
本年7月24日から2028年3月31日まで、沖野眞已教授の後任として、法学政治学研究科長・法学部長を務めることになりました。沖野教授は、本年4月1日に山本隆司教授の後任として、女性としてはじめて本研究科・学部の研究科長・学部長に就任されましたが、皆様ご承知のとおり、本年6月6日開催の閣議において最高裁判所判事への任命が決定され、7月23日に任期途中で研究科長・学部長を退任し、翌24日に最高裁判所判事に就任されました。これに伴い、急遽、沖野教授の後任として私が選任され、同日付で就任した次第です(ちなみに、4月以外の時期に法学部長が交代になるのは、1972年11月に伊藤正己先生の後任として斎藤真先生が就任されて以来、52年ぶりのことです)。このようなタイミングで研究科長・学部長に就任することは全くの想定外であり、戸惑うこともないわけではありませんが、関係の教職員のサポートを得ながら、研究科・学部の管理運営の業務を進めているところです。
簡単に自己紹介をさせていただきますと、専門分野は刑法です。1993年に本学部の当時の第1類(私法コース)を卒業し、西田典之教授を指導教員として法学政治学研究科助手に採用されて研究者としての生活をスタートさせ、その後、1996年10月から神戸大学大学院法学研究科で勤務した後、2008年10月に東京大学に戻り、本研究科・学部で刑法の研究教育に携わってまいりました。2019年度から法曹養成専攻長、2022年度からは副研究科長を務めるなど、最近では大学の管理運営に携わる機会が多くなっております。これまでの経験を少しでも活かして、研究科・学部の運営に当たりたいと考えております。
報道などでご存じの方も多いと思いますが、東京大学は2027年9月に新学部「UTokyo College of Design」を開設する予定です。これは学士・修士一貫型の教育プログラムのもと、社会システムのデザインの在り方を広く学ぶことが想定されており、学生の半数は留学生であり、全ての授業が英語で行われる予定です。また、世界最高水準の国際研究大学の実現に向けて、いわゆる大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の第2期公募が開始され、東京大学もこれに申請しております。無事採択された場合は、世界トップレベルの研究を実現するための大学組織の抜本的な改革が求められます。これらの大きな変革の動きが、法学・政治学の教育・研究にいかなる影響を及ぼすかについては、現時点ではまだ明らかではありませんが、社会の新たなニーズを柔軟に汲み取りながら、本研究科・本学部に期待されている伝統的な使命や役割に確実に応えていくことが重要であると考えているところです。皆様におかれましては、今後ともご支援・ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
東京大学大学院法学政治学研究科長・法学部長
橋爪 隆