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卒業生・修了生の皆様へ

2019年4月より、岩村正彦教授の後任として、法学政治学研究科長・法学部長を務めることとなりました。任期は、2022年3月までの3年間です。3年間という期間は、法科大学院の未修者の修業期間と重なります。伝統ある研究科・学部の長という重責を担うには能力・経験とも甚だ不足しておりますが、私自身いわば未修者として、謙虚に学ぶ姿勢と挑戦心を忘れることなく、職務に精励する所存でおりますので、前任者にも増して一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

東京大学大学院法学政治学研究科・法学部(以下、「本研究科・学部」といいます)の歩みは、東京開成学校(法文理の3学部)と東京医学校との合併により東京大学が創立され、その学部の1つとして法学部が設置された1877年に遡ります。以来、折々に組織改変・名称変更はあるものの、一貫して、日本の法学・政治学の研究・教育をリードし、各界に有為の人材を送り出してきました。学部の卒業生の数は、2019年3月までの累計で68,214人(旧制29,210人、新制39,004人)に及びます。

 

本研究科・学部の近況は、随時、ニューズレターでも報告していますが、近年の特に注目すべき動きをピックアップしてご紹介するならば、その1つは、学部のコース制・カリキュラムの改革です。1949年の新制大学発足時に遡る「第1類(私法コース)」「第2類(公法コース)」「第3類(政治コース)」というコース区分を、2017年度学部進学生から、「第1類(法学総合コース)」「第2類(法律プロフェッションコース)」「第3類(政治コース)」という新たなコース区分に改めました。同時に、卒業単位と必修科目の削減により、学生の主体性・自主性をより重視した、様々なチャレンジ(例えば、海外留学)がしやすいカリキュラムとし、また、授業科目において、「外国語科目」という科目群(外国語で行われる講義、外国語文献を講読する演習等)の新設(第1類で4単位取得を卒業要件化)、「リサーチペイパー」の新設(第3類で卒業要件化)等を行いました。東京大学で全学的に進められた学部教育改革の一環として、社会の国際化と学生の進路多様化の動きに対し、より柔軟に対応可能な制度とすることを狙いとしたものです。2019年3月には、新コース制と新カリキュラムで学んだ最初の卒業生が社会へと旅立ちました。

 

上記の改革に引き続き、現在、学部において重点的に取り組んでいるのは、教育の「国際化」です。1つの柱は、カリキュラム改革の狙いにも含まれていた海外留学の奨励・促進ですが、それと並ぶもう1つの柱は、学内の授業において専門分野(法学・政治学)の外国語と触れる機会を増やすことです。カリキュラム改革で新設された「外国語科目」の充実・拡充を図るとともに、通常の授業でも、その一部のコマを海外招聘教員による外国語の講演に当てる等の取組みを進めています。加えて、これまで法科大学院の授業として定評を得ていた「サマースクール」(夏休み期間に海外から教授陣を招聘し合宿形式で行う集中授業)の門戸を学部学生にも開放することとしました。

 

大学院において注目すべきは、総合法政専攻において取り組んでいる「先端ビジネスロー国際卓越大学院プログラム」です。学部教育改革の後、東京大学で全学的に進められた大学院教育改革の一環として、2017年度に開設された本プログラムは、2019年度より、文部科学省公募の「卓越大学院プログラム」に選定され、国の補助事業となりました。AIに代表される技術革新が進む中、新たな技術の社会実装に伴って、ビジネスローの領域も急速な変貌を遂げつつあります。そのような「ビジネスロー領域について、工学・医学等を含む関係諸科学の成果も踏まえつつ、文理の枠を超えた総合的視野から、新たな理論・実践の枠組みを構築できる研究者・高度専門職業人」を養成することが本プログラムの狙いです。学内の理系研究科(工学系研究科・情報理工学系研究科、医学系研究科)と連携するとともに、学外では、海外著名大学(ハーバード大学、北京大学、ソウル大学、台湾大学)のほか、日立製作所、富士フイルム株式会社、ソフトバンク株式会社、ヤフー株式会社、日本銀行金融研究所と連携しています。学際性、国際性とともに、産学の連携重視を特色とし、学位取得を目指す在職者の受入れにも積極的に取り組んでいるところです。詳細は、「先端ビジネスロー国際卓越大学院プログラム」のページをご覧ください。

 

日本の法学・政治学の研究・教育をリードするという本研究科・学部の使命に向けた取組みは、絶えず進行形です。上に紹介した動きも、その例にほかなりません。本研究科・学部は、引き続き、時代のニーズ・課題としっかり向き合いながら、その重い使命を果たすことができるよう、絶えず努力を重ねていく所存です。もっとも、そのような努力・取組みは、大学内部で完結し得るものではなく、様々な形で社会との連携を必要とします。それは、何よりも、法学・政治学の対象が社会そのものであるという学問分野の性質によりますが、大学内部のリソースの限界という財政事情によるところでもあります。

 

社会との連携に当たり、本研究科・学部にとって力となるのは、その歴史と伝統、その中で培われてきた人的ネットワークと社会的評価です。とりわけ、卒業生・修了生の皆様方のご助言、ご助力、そして、東京大学法学部振興基金等を通じた財政援助は、本研究科・学部の努力・取組みを外から支える最も大きな力となっています。卒業生・修了生の皆様方には、この場を借りて、篤く御礼申し上げますとともに、今後とも、物心両面にわたる一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げる次第です。

 

法学政治学研究科長・法学部長  大澤 裕

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