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コラム7:自分を苦しめる「考え方」について

大学生の友人関係は、同じクラスやサークルの人たちなど、自分と似たような年齢や境遇・身分の人たちであることが多いと思います。その場合、もちろん様々な人間がいるのですが、ある程度は似たような範囲の価値観やものの考え方を共有していることが多くなります。だからこそ、友人と一緒にいると話が合って楽しいのでしょう。

 

しかし一方で、似た価値観を持っている集団の中にいると苦しくなってくる、という経験はないでしょうか。良い就職や資格を手に入れること、恋人や友達と楽しく学生生活を送ること、勉強はスマートにやること、等を良いことだとする空気の中で、自分はそういうふうにできない・ありえない時、逃げ場がなくなってしまうことがあります。

 

アルバート・エリスという心理学者は、身の回りで起こる出来事そのものではなく、このような価値観やものの考え方こそが、人を苦しめているのだと考えました。「嫌なことを言われたから、腹が立つ。」「試験に落ちたから、自分はダメ人間だと思う。」等の事態は、“人は私に嫌なことを言うべきではない”“試験には必ず合格しなければならない”などという固い完全主義的な考え方を持っているために、嫌な感情が起こるのだということです。覚えやすいので紹介しますが、エリスは「ABCDE理論」というものを唱え、何か身の周りで出来事(Activative event)が起きた時に、本人の持っている考え方・受け取り方(Belief)が働いて、嫌な感情などの結果(Consequence)が起きる。その場合、この考え方・受け取り方を論駁(Dispute)して別のものに変えると、嫌な感情も消える(Effect)と言っています。Beliefの部分を変えたりゆるめたりするというのがポイントです。

 

考え方を少し変えてみるには、いろんな人(できれば年齢も環境もまったく違う人)のものの考え方を聞いたり読んだりすることが役立ちます。私がこれまで聞いて驚いた話には、例えば東大に入学したかった理由について「六大学野球でレギュラーになれそうだったから」「好きな先輩を追って」というのがありました。また『ハマータウンの野郎ども』という有名な社会学の本に「労働なんてみな同じ」と考える英国労働者階級の少年たちのことが書いてあります。皆さんの進路相談を受ける身としてはやや不謹慎ですのでそれを参考にするかどうかは別としても、世の中にはそんな人さえいるかと思うと進路についてキリキリ悩んでいる人は、考え方が少しゆるんで楽になるかもしれません。

 

この方法では現実は何も変わっていないのでもちろん限界はありますが、嫌な感情をかわしたり、やる気を出したりすることに幅広く役立つと思います。人生は楽しく過ごした方が得ですから、ちょっと柔軟な考え方や価値観を模索してみるのはいかがでしょうか。

 

(文章:石丸)

 

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