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コラム10:文章を読むことと話を聞くこと

私は本を読むのがあまり得意ではありません。もちろん、大変おもしろく魅力的な文章だとか、その内容に非常に関心がある場合であれば、没頭して読みふけることはあります。しかし一方、文章を目で追っていても飽きてしまったり、頭の中に入っていかなかったりすることもよくあります。読書が習慣付いている人というのは、さぞや幅広い知識を日々吸収しているだろうとうらやましく思います。

 

その代わりというわけには行きませんが、私は講演やシンポジウムなどで人が話すのを聞きに行くのが好きです。幸い東京近辺では様々な講演会や講座・シンポジウムの類が頻繁に開催されており、少しでも関心のあるテーマのものを見つけると、忙しいのにもかかわらずついつい足を運んでしまいます。本や論文を書いている(しばしば有名な)人の姿を拝みたいというミーハー的関心も実際大きいのですが、話し手の顔を見ながら話を聞くということには、文章を読むということにはないメリットがいくつかあるように思います。

 

文章になったものを読むことも講演等で話を聞くことも、基本的には一方通行の情報の伝達形式であることには変わりありません。しかし話を聞きに行くと、話者の顔かたちや服装などの雰囲気、表情、話し方、立ち居振る舞いなどがわかります。話者の家族や生い立ちについてとか、そのテーマに関心をもった経緯などの背景情報、文章には書いていない本音や最新の考え、時事問題に関する考えなどが述べられることもあります。要するに、その人が伝えようとしている内容だけでなく、その人自身に関する情報がある程度わかるわけです。「こういう人だから、こういう体験があったから、こういうふうに考えたから、このようなことを言っているのかもしれない」など、その人の考えについて周辺的な文脈情報があった方が包括的理解が深まりますし、記憶にも残りやすいです。

 

また、講演などの場合、聞いているのは自分一人ではありません。他の聴衆の反応というのもあります。だいたい世間の人たちは話のどのあたりに興味を持つのか、またどんな疑問を持つのかということもある程度知ることができ、自分の理解の仕方をなんとなく位置づけてみることもできます。この人の(このテーマの)話を聞きに来た人たちはどんな人たちなのかと眺めてみるだけでも楽しいものです。

 

しかしライブでの話というのは、伝えられる分量に非常に限りがあるという問題はあります。本や論文などの方がどうしたって情報量が多く正確で網羅的ですから、文章を読むこともおろそかになってはいけないと思っています。皆さんもいろんな情報摂取のやり方を試してみてください。

 

さて学習相談室では毎年、進路選択や学習の仕方に関するテーマで講演会・セミナーを企画しています。このような種類の本ならいつでも読めますが、直接に話が聞ける機会はほとんどないと思います。ぜひ参加してみてください。

 

(文章:石丸)

 

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