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コラム13:人と違っているということ

私の研究・実践上の関心領域は、性的マイノリティに関するテーマです。私はこのテーマについて、メンタルヘルスなどの心理学的関心を持っていますが、一般的にマイノリティの生活には法制度も大きく関わってきます。日本は諸外国に比べると大きな遅れを取っていましたが、ようやく昨年夏には、一定の条件を満たした性同一性障害をもつ人が戸籍の性別(続柄)の変更の審判を求めることができる法律が制定されました。テレビドラマや当事者の地方議員の誕生などの話題もあって「性同一性障害」という用語は、現在では多くの人が知る言葉になりました。一方最近では、アメリカ大統領選を前にして、同性愛の人たちの結婚の問題が大きな論点の1つに挙がっています。すでにオランダ、ベルギーや、カナダの一部の州では同性婚が認められていましたが、サンフランシスコ等での同性婚の騒ぎは日本でも連日報道されました。

 

東京大学は比較的巨大な組織ですので、性的マイノリティの当事者も多く存在します。ゲイ・サークルも学内に複数あります。様々な調査から、同性愛的な欲求や接触のある人は100~20人に1人くらいだろうと考えられていますので、割合からすると、学生にも教職員にもたくさんいらっしゃると思います。多くの人はカミングアウトせずに過ごしているので、話したいのに話せない、感じたままに表現したり行動したりできない、と窮屈な思いをしている人も多いかもしれません。

 

東京大学法学部というところは、東京大学の中でも、大学生の中でも、法学界の中でも、また卒業後の社会の中でも、ある意味、主流中の主流のような場所です。社会の中で代表的な価値観を突き詰めていった象徴のような所です。年齢層もほぼ揃っていて、目指す進路もある程度の典型があります。このような主流性と均質性が高い場所では、何かが人と違っているということが、マイナスの価値になってしまわないか、と私は少し心配しています。主流的なあり方から少し外れた部分が、もし自分にあったとしたら、居づらさや疎外感を感じたりしないでしょうか。

 

性的マイノリティの例は、馴染みのない方には想像しにくいかもしれませんが、例えば社会人入学、学士入学、傍系進学、休学、留年などをした人たち、また帰国子女や留学生の人たちの中には、法学部の中で若干の疎外感を覚える人がいるであろうことは想像に難くありません。ましてや民族的・宗教的・性的なマイノリティの方や、障害・病気を持っている人などはなおさらでしょう。

 

普段の生活の中で、親や友人になかなか話しづらいことがあるとき、たまに息抜きに感じていることを話すこともできるような学習相談室であるとよいなと思います。また、東京大学法学部で勉強をしている人たちにはぜひ、目には見えなくても、異なる立場の人、異なる発想の人が世の中にはたくさんいることを想像できる人になっていただきたいなと願っています。

 

(文章:石丸)

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