東京大学大学院法学政治学研究科・法学部

コラム20:ストレスへの対処法

学習相談室

コラム20:ストレスへの対処法

ストレス…この言葉を目にしない日はほとんどないくらい、現代社会は、さまざまなストレスに溢れているといわれます。ストレスは、適度であればむしろ生活のスパイスになると言われますが、忙しい学生生活の中で、皆さんはうまくストレスに対処できているとお感じでしょうか。ストレスに対処するには様々な方法がありますが、今回はこうしたストレスへの対処法を「I COPE」という言葉でまとめて、ご紹介します。

 

まず、Iはストレスを確認すること(Identifying stress)です。皆さんは自分がストレスを感じていることをどのようにして知りますか? ストレスを経験している時には、不安になったり、疲れていると感じたり、イライラしたり、また「自分は(例えば試験)準備ができていない」と考えたり…と、人によって考えたり感じたりすることは様々です。ストレスを感じている時には圧倒されそうに思うこともあるかもしれませんが、自分がストレスを感じていると分かったら、以下のCOPEの方法を選ぶこともできるのです。

 

まず、Cはコミュニケーションの技術(Communication skills)を指します。不安な気持ちを、誰かに聞いてもらうだけで、何だか気分が軽くなることはありませんか? このように、友達や誰か自分を支持してくれる人と思う存分話すことは気持ちを軽くしてくれます。また、自己主張をすること、つまり自分の要求を表現し、場合によっては「NO」と言うこともここに含まれます。

 

次に、Oは構造化の技術(Organization skills)といって、自分のペースを決めること、優先事項を決めること、役に立つ計画を立てることが含まれます。しなければいけないことが沢山あっても、時間を構造化して自分がすることを決め、目標に向かって前進すること。こうすることは、ストレスを感じていても、同時により準備ができていると感じるのに役立つでしょう。

 

また、Pは、認知を変える技術(Perception skills)といい、ある事柄についての考え方を変えること、または変えられない事柄自体を受け入れること、そして自分に優しく肯定的なメッセージを投げかけることが含まれます。例えば、試験を大きな節目、途方もない脅威、と考えるのではなく一つの教育過程にすぎないと思い出すこと、「自分は失敗するだろう」という考えを「過去に上手く出来たこともあるし、今回も上手くいかない理由はない」という考えに変えることも認知の変容です。

 

最後に、Eは強化のスキル(Enhancement skills)で、体に気をつけること(夜よく眠る、正しく食べる、適度な運動をする)、リラックスするための時間をとること(深呼吸・瞑想・その他の方法を使って…)、自分自身を親切に優しく扱うことがここに含まれます。こうして自分自身をもてなす時間をもつことで、より機敏になり、よりよくプレッシャーに対処できるようになるのです。

 

このように、一つのストレスに対しても取り組み方は様々なものがありますが、皆さんは、これらのうち、どの方法をより多く使えるでしょうか。「I COPE」のそれぞれの方法を研究して、自分にあったストレスへの取り組み方を工夫していただければと思います。

 

(文責:石津)