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コラム23:進路再考の秋(とき)–多様な選択肢の中から検討を!

夏学期の定期試験の結果はいかがでしたか? 長く暑かった夏も終わり、4年生の皆さんはいよいよ学生生活最後の学期ですね。是非、悔いのない学生生活を満喫して下さい。

 

3年生の皆さんは、いよいよ進路を決めなければならない時期に差し掛かりましたね。皆さんの中にはそろそろ就職活動を始める人もいるでしょうし、全く就活をしない人もいると思います。後者の人の多くは法曹志望で法科大学院進学を目指していたり、公務員志望であったり、研究者志望であったりすると思います。なかでも、法曹志望の人が多いでしょう。ところで、法曹志望の人はどのような動機で法曹を志すようになったのでしょうか。どんな動機だろうと他人に関係ない、と言われるかもしれません。そうかもしれません。しかし、周知の通り、法曹への道は長く険しいものです。その長く険しい道を歩むとき、明確で真正な動機がないと非常につらいものになるのではないでしょうか。今、「真正な動機」と書いたのは、「偽の動機」の反対物という意味ではありません。哲学者のウィリアム・アーヴィンは欲求を「道具的欲求」と「最終的欲求」とに分けていますが、その区分を使えば私が言いたいのは明確な「最終的欲求」があるか否か、ということです。道具的欲求とは、何か別の欲求を達成するために生じる欲求のことであり、それに対して、最終的欲求とは他の欲求を達成する手段としてではなく、それ自体のために欲するもののことです。

 

法曹志望の学生の話を聞いていると、道具的欲求は色々と語るものの、最終的欲求が曖昧であるケースが少なくないのです。いわく、法曹になれば、親や親戚の期待に応えられる。友達が皆、法科大学院を目指している。資格のある仕事をしたい、等々。それから、これは公言する人は少ないのですが、日本で最も難しい資格を取得するという名誉を得たいという気持ちもあるでしょう。もちろん、これらはすべて悪いことではありません。ただ、これらはいずれも道具的欲求であって、最終的欲求とは言えないものばかりです。それに対して、最終的欲求が何なのかを尋ねると、答えがあやふやになるケースが少なくありません。また、真面目な人は義務感も強いので、「ひとから期待されている通りのことを『自分』でも欲していると感じてしまう」と、社会心理学者のエーリッヒ・フロムも述べています。それでも法学部の成績が良く、法科大学院進学に不安のない人はあまり迷わないでもすむかもしれません。けれども、思ったほどいい成績が取れないとなると、迷いがでてくる人も多いでしょう。が、これはむしろ進路を考え直す好機と捉えるべきでしょう。そもそも自分はなぜ法曹になりたいと思ったのか、その最終的欲求を考え直してみるのです。その際、同時に、自分を本当に活かせる職業は法曹以外にないのか、もっと別の選択肢も検討してみるべきです。法曹が世の中で最も素晴らしい職業であるなどと考える必要はありません。あなたにとって一番いい職業は、あなた自身が心から好きになり、あなた自身を最も輝かせることのできる仕事なのですから。そのためには、世の中にどんな職業があるのかをよく調べ、多様な選択肢の中から検討することをお勧めします。

 

(文責:稲田)

学習相談室