東京大学大学院法学政治学研究科・法学部

コラム27:進路選択講演会のアンケートから

学習相談室

コラム27:進路選択講演会のアンケートから

4月25日に開催しました「進路選択講演会」に参加された方のアンケート結果がまとまりましたので、ご報告します。

 

1. 講演会の内容については、「満足」と答えた人が70%、「やや満足」が26%、「やや不満」が4%、「不満」は0%でした。企画・進行については、「満足」が62%、「やや満足」が30%、「やや不満」が8%、「不満」が0%でした。講師の人選については、「満足」が60%、「やや満足」が34%、「やや不満」と「不満」がそれぞれ4%と2%でした。

 

2. 講演会に関する意見・感想では、(意見・感想を書いてくれた人の)大半の方から、「具体的なお話が聞けて良かったです」「非常に有益だった」など、高評価を頂きました。以下、いくつか具体的な意見・感想を紹介します。
・今回のように、様々な進路の方の話を一度に聞く機会は他になかったので、とても参考になりました。
・学生時代に自分と同じような悩みを抱えていた先輩のお話しを聞けたのでとても参考になりました。
・仕事についてイメージが全く湧かなかったが、お話を聞いて自分が何を考えどう選択していくべきなのか少し見えてきたので良かった。
・皆さんの職業選択への意思決定過程を聞けて有意義でした。また業務内容についても聞けたのでイメージがわき、参考になりました。
・法曹しか考えていなかったが、少し視野が広くなった気がしました。
・4年で就活中であるが改めて進路を考える参考になった。
・外務省の方と法曹関係の方、双方の話が聞きたかったので非常に参考になりました。皆さん東大卒業生の方々、しかも近年の卒業生の方々なので、これからどうしたら良いのかとか具体的に思い浮かべられて良かったです。
・東大の模範卒業生の姿を見れて良かった。人の人生は様々、私は私の道を生きていきたい。そのためにも学生の本分~勉強~を継続していきたい。

 

また、「みなさん好奇心が強く、さらにそれを行動に移す力が強いなあと思いました。やはり根本的には好きという気持ちが大切になってくると感じました」、「やりたいことを突き詰めて考え、しっかり情報収集をし、ちゃんと勉強して進路選択をすればいいという当たり前のことを確認できて良かった」、「今自分が頑張るべきことがわかった気がしました。ゼミ、頑張ります」などと、講演会で得た収穫やモチベーションの高まりについて書いてくれた方もいました。

一方で、「できれば財務省や内閣府など他省庁の人の話も聞いてみたいです」、「もう少しだけ参加者を増やしてほしい」、「欲を言えばさらに細かく業務内容を知りたかったです」といった要望も寄せられたほか、「職業の選択での葛藤が少ない人が多かったように感じました。もっと苦渋の決断をされた方もいれば良かったように思います」と言った意見もありました。「もう少し参加者を増やしたい」というのは、学習相談室スタッフが最も強く希望していることでもあります。できる限りの宣伝はしているつもりなのですが、それでも年によって参加人数に大きな波が出てしまいます。

 

3. 講演会の構成・進行については、「適切だと思います」、「参加しやすく、いい時間だった」、「質疑応答の時間がたっぷりあってよかったです」などと好意的な評価が多かった。
その一方で、「3人のお話しされた時間に少し偏りがあるように思われた」といった意見や、「図書館の開館日に開いてください」という要望も見られた。実は4月25日という日程は講師の方の人選を始める前の昨年12月の時点で決まっていたので、その日が総合図書館の閉館日に当たってしまったのは、残念な偶然でした。
また、「一人ひとりが割と長すぎる。2時間で構わないのでより人数を増やして、これだけは言っておきたい、と各人が言う企画の方が密で良い」、「今日の形式でもよいのですが、学生を3つにわけて少人数でOB・OGを囲み、経験についてのお話しを聞いたうえで、その場で質疑応答し、それを3回まわすという方式もありじゃないかと思いました」、「各スピーカーごとに質問時間を設けてほしかったです。パワポも用意して頂けたら理解がすすんだかと思いました」といった具体的な提案も寄せられました。講師の方の人数を増やすというのは、現実的には難しいとは思いますが、各スピーカーごとに質問時間を設けるというご提案は、今後検討したいと思います。

 

4. 講師の人選については、「法曹界、民間就職、公務員とバランス良く話が聞けて良かった」という肯定的意見が多く寄せられた。また、「日銀の方のお話が聞けて良かった」という回答が3件あったほか、「女性の方が多かったので良かった」という回答も3件あった。
一方、「裁判官の方、検察官の方等の話も伺ってみたい」、「商社や金融、外資の方のお話も聞きたい」という意見もそれぞれ数件寄せられた。特に商社を挙げた回答が5件あったのが目を引いた。また、「身近な年の先輩で良かった」という意見が2件あった一方で、「より経験を積んだ人の話も聞きたい」という意見や「もう少し幅広い世代の方のお話を聴きたい」という意見もあった。このほか、次のような意見が寄せられた。
・どなたも第一志望のところに受かっていて、成功体験が大部分を占めているような感じに見えたので、例えば自分の思い通りにならなかったけれど充実した人生を送っているというような人の話を聞きたいです。
・もっとパワフルな演説をしてくれる方、社会の厳しさを教えて下さる方の招待、はたまた落ちこぼれ東大卒が学生に語りかけるような企画もあって良いと思った。固くない面白い人がほしい。
・基本的には満足だが、地方公務員や中小企業に勤務されている方がいても良いと思った。

 

5. 今後取り上げて欲しいテーマについては、「同様の講演会を数多く行って欲しい」「より多様な職業についての講演会を開いて欲しい」という要望が数件寄せられた。また、「伝統的な区分ではなく新しい分野からの講師もお招きして頂きたい」、「東大法学部出身の人の中でも特殊な業種に就いた人の話を聴きたい」、「奇抜な進路について聴きたい」という要望や、「各業界に特化した講演会を開いて欲しい」といった要望が寄せられた。
また、「法曹や公務員など、職種毎に卒業生の方を集めた講演会があればぜひ参加してみたい」、「4~50代の各組織の幹部の方のお話も聴きたいです」、「4大事務所の弁護士・検察官・裁判官による講演会」を開いて欲しいという意見・要望もあったほか、「どれだけ苦労してきたか、社会人はどれだけ大変かを語っていただく企画」という一風変わった要望や、「理系から法学部に来た人の講演」というちょっと趣旨のわかりにくい要望もあった。
一方、「ロースクールや予備試験に向けての学習相談や各種手続きに関する情報提供」や「法科大学院や公務員試験の準備はいつから始めるべきなのか、どう計画を立てればよいのか」に関する要望もありましたが、これについては、是非、学習相談室に個別に相談に来て頂きたいと思います。また、「進路選択に院生を呼んで欲しい」という意見も1件ありましたが、院生をお呼びする企画としては、5月の学習セミナーがあり、ここでは講師の院生の方がなぜ現在の進路を選んだか、というお話もして下さいますので、どうぞこちらの方にもご参加下さい。

 

進路選択講演会については毎年、同様の講演会を多数開いて欲しいという要望を頂いているのですが、学習相談室では4カ月ほどかけて準備をしていますので、年に複数回実施するのは難しいかと思います。学生の皆さんは、キャリアサポート室や公共政策大学院係など学内の様々な機関の実施している同種の講演会やセミナーを積極的にご活用下さい。
また、もっと多様な職種の方や変わった進路に進まれた方のお話、あるいは失敗体験から得られた経験談なども聴きたいという要望は誠にもっともなものだと思いますが、年1回という制約の中では、どうしても法学部生の「最大多数の最大幸福」を目指すとなるとどうしても法曹・公務員・民間就職から1名ずつ、という現在の構成にならざるを得ないという実情をご理解頂ければ幸いです。また、法曹から弁護士の方をお招きすると、裁判官や検察官の方のお話も聴きたい、裁判官の方をお招きすると、弁護士の方のお話も聴きたいという要望が出されるのですが、これも以上の説明からおわかりのように、法曹から1度の複数の方をお招きするのは難しいのが現状です。どうかご理解下さい。

 

(文責:稲田)