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コラム39:進路で悩んでいる方へ(3):江黒早耶香さんのメッセージ

今回は、4月23日に開催されました進路選択講演会における江黒早耶香さん(弁護士)のメッセージです。

 

■弁護士を志望した理由

・私が弁護士を志望したのは、かなり早く、最初は弁護士に限らずに、子供に関わる仕事をしたいと思っていました。ですから、法学部を選ぶ前は、スクールカウンセラーや小児科医など他の仕事も考えていました。

・子供の頃、子供の権利に関心を持つことがあり、大人になったら、子供の味方をするような仕事をしたいと思っていました。

・子供の権利に関して活動する弁護士もよいのではないかと思い、それで法学部を受験しました。

 

■学生時代

・学生時代は法学部の授業もちゃんと出ていましたけれど、経済や語学の授業に出てみたりして、幅広い授業を取るようにしていました。

・報道を見て、ユニセフやユネスコなどの国際公務員になって、日本よりももっと厳しい環境にいる海外の子供を支援する仕事もやりがいがありそうだなと思い、そのためには大学院を出ておく方がよいと考えて、ロースクールに進学したいと思うようになりました。

 

■法科大学院時代

・ロースクールでは、六法だけでなく、最先端の科目もたくさん取って、リサーチペーパーも書き、ロースクール生活を満喫して、授業料は十二分に元を取ったと思えるような学生生活でした。

 

■法律事務所から公務員へ

・最初に入った事務所は、アジアの仕事の多い専門型事務所で、アジアや途上国の仕事ができるかもしれないと思って選びました。

・その事務所からある日、官庁に出向するよう勧められ、内閣官房国家戦略室というところに出向することになりました。そこには、財務省や外務省、内閣府などの様々な官庁から1~2名ずつ、民間企業からも官庁出身者と同じくらいの出向者が来ていて、弁護士は私を含めて2人いました。

・私は政府の経済成長戦略のアジア戦略や人材戦略を担当していました。人材戦略には子供に関する政策立案等も含まれており、やりがいがありました。

 

■出向を終えて

・出向から戻って数ヵ月後に、事務所を移籍することになりました。

・今の事務所は欧米・途上国含めた国際案件で有名な女性弁護士のいるところで、専門(ブティック)型ではなく総合的なフルサービスの事務所です。

・今の私の仕事ですが、知的財産権の案件とアジアの案件を半々くらいずつ携わっています。出向経験を生かした仕事もできていると思います。

・子供の支援をする弁護士の仕事はボランティアベースの公益活動になることが多く、一部の専門家の方以外は生計を別の分野で立てることが多いと思います。

 

■進路選択で悩む人へのメッセージ

・人生は思い通りにならないものです。予想外のことがたくさんあります。弁護士はとくに自分でしっかりとキャリア形成を考えていかないといけないだろうと思います。

・今後は、外部から公務員不足を解消するために民間人を登用する動きが増えてくると思います。弁護士でも私のように官庁に出向している人もかなりたくさんいますし、民間企業で働く弁護士もますます増えてくると思います。私は今、日本組織内弁護士協会の理事をしていますが、同協会は、弁護士の資格をもちながら、行政や企業など組織内で働いている弁護士の団体です。私が弁護士になったころは、インハウスロイヤーはたぶん200~300人くらいしかいなかったと思いますが、今では全体で1,400~1,500人、霞が関には常時100人以上の弁護士が働いています。

・東大法学部は法曹と公務員になる人の割合が比較的高いのでこれらの進路が目立ちがちですが、世間のほとんどの人は民間企業で働いています。法曹や公務員は利益を生む仕事ではなく、納税の価値の源泉は規模の大小を問わず企業が生み出すものに依存しています。社会的に価値があるものを創り出す民間企業の仕事の尊さもぜひ理解していただきたいと思います。

 

(文責:稲田)

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