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コラム46:可能性に開かれた自分になる

日差しが少し和らぎ、秋らしい陽気の日も増えてきました。気温差が大きい日もありますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 体調に気をつけて、ぜひ元気に新学期のスタートを切ってください。

 

私は学部時代に、「黒い文字に色が見える」、「音に色が見える」など五感がまじったような「共感覚」と言われる感覚について研究していました。以前はとても珍しい感覚だと言われていましたが、最近では1%くらいの人が持っているという報告もあり、意外と多くの人が持っているようです。知らなかっただけで、皆さまのお知り合いの中にも共感覚をお持ちの方がいるかもしれません。そして、そのお知り合いの方は、自分の感覚が人と違うということに気がついていないかもしれません。

 

共感覚者の中には、「生まれてからずっとこの感覚だから、人と違うなんて思いもしなかった」という理由から、自分が共感覚を持っていることになかなか気がつかない方がいます。テレビで取り上げられているのをたまたま見て、あるいは何かの拍子に友人と感覚の話になって、「あれ? みんなはこういう感じ方していないの?」と初めて気がつくようです。「感覚」と聞くと直感的に自分も周りの人も同じものを共有・体験していると感じられますし、日常的に話題にするような内容でもないので無理もないことですね。

 

これは共感覚という皆さまの多くにとっては関係のない話でしたが、「生まれてからずっとこの感覚だから、人と違うなんて思いもしなかった」という部分は、実は少し言葉を変えると感覚に限らず色々なことにあてはまります。例えば、「嫌なことが起きたときずっとこういう考え方をしてきたから、他の考え方があるなんて思いもしなかった」や、「問題が起きたときずっとこういう対処をしてきたから、この方法しかないと思っていた」といった具合です。普通に生活していて「自分にはこういう考え方のクセがあるな」と自分を客観的に分析する機会なんてなかなかないですし、やろうとしてもひとりだけでは難しいものです。また感覚と同じように、わざわざ自分の考え方や対処について取り上げて友人と比較するような機会もあまりないですよね。そのため、例えば勉強や人間関係において、自分がやっている方法で上手くいかないときに、他の方法があるということに気づかず行き詰まったように感じられるのは自然なことなのです。

 

学習相談室では、学習やこころについて困ったことが起きたときに、これまでの自分の考え方や対処法の特徴をつかみ、他のやり方の可能性について考える時間を持つことができます。これは決して、「これまでの不正解を指摘し、正解を教える」ということではありません。少し距離を置いてこれまでの自分を見つめ直すことで視野が広がれば、今までとは少し違った選択肢や可能性に開かれた自分になれるかもしれません。どんな競技であっても、使える技が多いほど有利になるのと同じように、今までの自分にプラスして新しい考え方や対処法が身につくと、学習やこころの問題が今より楽になるのではないでしょうか。大学生活の中で行き詰まりを感じたときは、ぜひ学習相談室のことを思い出していただけるとよいと思います。

 

(文責:信吉)

学習相談室