第19回学習セミナー(5月24日)を開催しました。
2018/05/28
5月24日(木)午後5時より、法文1号館22番教室において「第19回法学部生のための学習セミナー」が開催されました。講師には、上村剛氏(総合法政専攻博士課程・政治学史専攻)、岡野誠樹氏(ビジネスロー・比較法政研究センター特任研究員・憲法専攻)、岩崎啓太氏(法科大学院3年)をお招きしました。
学習相談室運営委員長の大串和雄教授の冒頭挨拶のあと、上村氏、岡野氏、岩崎氏の順にお一人30分程度ずつ講演して頂き、その後、三氏が壇上に並んで全体での質疑応答を20分程度行いました。セミナー終了後も講師の方に個別に質問する学生が多くいました。
上村氏は、大学院進学を決めるまでの経緯と政治学の面白さについて話されたあと、人によって得意不得意があるので、自分に合ったスタイルを見つけ出すことの大切さを指摘されました。また、頭の良さにもいろいろなタイプがあり、物事の基準は一つではなく、多様な見方があると話され、最後に研究者志望の学生へのアドバイスを語られました。岡野氏はご自分の勉強法について、学部時代は論文を乱読していたが、法科大学院に進学してからは、判例を1審からすべて読み込むような勉強法に変わり、事実関係は宝の山であると指摘されました。また、法学を勉強する前と後とで世界の見え方が一変するようなときに面白さが実感できること、そのためには、法学特有の概念を使いこなせるように“慣れる”ことが大事な段階と、正常に機能する社会を目指し、孤立した少数者を見殺しにしないという法の役割に即した現実への批判的考察をする段階とがあると指摘されました。岩崎氏は、法学には「単位取得の手段」「試験科目」「実学」「学問」という4つの顔があるので、どこをゴールにするかで勉強法も違ってくるが、このセミナーでは「試験科目」としての法学を対象とするとしたうえで、法学は一つ一つの単元を順番に積み上げていくというより、薄く一周しながら何周も積み上げていくような勉強法が向いていると指摘されました。最初は薄い本や予備校本でもいいが、それは離乳食のようなもので、それだけでは法的思考力はつかないので、判例を自分で読んだり考えたりすることが必要だと話されました。最後に、試験答案と普段の学習のつながりについて、自作の事例問題を例としながら、問題抽出、問題提起、規範導出、規範定立、あてはめの仕方について具体的に説明されました。
参加者のアンケートには、「多様な進路の方々から、それぞれの視点でお話を聴けたのが大変ありがたかった」「単純な学習法に限らず、学習に対する考え方や法学に感じる楽しさなど様々な切り口でのお話を聴き、モチベーションを保つ一助にもなると思った」「法学部卒業生の方から、学部での学び方について話を聴く機会は初めてだったのでとても貴重でした」「自分の中で朧げにうかんでいた考えが急速に形を持ち始めました」など、肯定的な回答が多数寄せられました。