東京大学大学院法学政治学研究科・法学部

コラム38:進路で悩んでいる方へ(2):水野浩太さんのメッセージ

学習相談室

コラム38:進路で悩んでいる方へ(2):水野浩太さんのメッセージ

大変お待たせいたしました。順序が前後してしまいましたが、4月23日(木)に開催されました進路選択講演会における水野浩太さん(財務省)と江黒早耶香さん(弁護士)のお二人による講演の要旨を、「進路で悩んでいる方へ(2)」「同(3)」として2回に分けてお届けします。まず、今回は、水野浩太さんのメッセージから――

 

■ご自身の就職活動について
・大学では国際法の模擬裁判をやったりして、外交への興味が出てきた。
・国家公務員の準備に関しては、説明会にもよく足を運んで、いろいろな人の話を聴いた。
・公務員試験については、年明けごろからひたすら過去問を解くということをしていた。予備校には行かず、独力で勉強した。
・官庁訪問は、「実際にやりたいことができるのはどこか」という視点で考え、外務省・財務省・経済産業省の3つを回った。経産省は正直相性が合わなかった。外務省と財務省で悩んだが、財務省が自分を一番高く評価してくれたと感じた。また、外交には興味・関心はあったが、自分の適性はむしろ財務省に向いているのではないかと思った。

 

■職業としての行政官の魅力と留意点
・社会におけるルール・制度の立案・実施ができるのがまさに行政官の仕事。こういう仕事に興味のある人は、是非門を叩いてほしい。
・社会的正義の実現欲求が強い人には向いている職業だと思う。
・行政に対する社会的ニーズはこれからますます高まるだろう。
・イノベーションを生むのは民間の仕事なので、何かアイデアを持っていて、それで社会を変えたいという人は、民間で自由にやることが望ましいだろう。
・行政官は、ルールに縛られる窮屈さはある。自由度が高いのは民間だろう。
・異動が1~2年単位と激しいので、専門性を養うことは難しい。基本的に幅広い行政分野に対応できるゼネラリストが行政官。

 

■これから進路選択を行う皆さんへ
・「職業人生を通してやりたいこと」を突き詰めてほしい。職業・就職先ありきで、後付けの志望動機になっていないか、見直してほしい。後付けの動機は企業側に見透かされる。
・能力・適性と興味・関心とは必ずしも一致しない。企業や組織は皆さんの能力・適性をよく見ているので、しっかりと自己分析をして、自分は他の人と比較して何ができるのかよく考えてほしい。最終的にはある程度妥協も必要になる。
・就活はお見合いのようなもので、「選ばれる」ことばかりに目が向きがちですが、あなたにも「選ぶ」権利があることを忘れないように。
・就活は社会について知るチャンスです。世の中に情報が溢れているが、伝聞情報ではなく、企業や説明会に足を運んで、自分自身でその組織の人と話をするべきです。あなたはまだベストな職業・就職先を見つけていないかもしれません。
・長期的な視点を持つことが大事です。世の中の流行で選ぶのは良くない。社会の変化は速いので、10~20年後には今流行の産業が消えている可能性もあります。入社することがゴールではなく、20~30年をかけたキャリア形成という視点を持つことが大切です。
・東大生は失敗に慣れていません。が、就活ではどんな人でも全て受かることはない。落とされるとショックを受けるが、それは全く生産的ではない。就活では、能力があっても落とされることもある。だから、冷静に自己分析をしつつも、必ずしも自分でコントロールできる要因ばかりではないので、自分を責めないようにすることが大事。自分を責めているとマイナス思考になってしまいます。

 

(文責:稲田)