研究班
  • 政策システム理論
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  • 地方分権班
  • メディア班
  • EU班
  • 科学技術班

政権交代班(コーディネーター:高橋・安井) メンバー

高橋進

高橋進
Susumu TAKAHASHI

事業推進担当者・
東京大学大学院法学政治学研究科教授

安井宏樹

安井宏樹
Hiroki YASUI

特任助教授・
神戸大学法学研究科助教授


村松泰雄

村松泰雄
Yasuo MURAMATSU

特任教授・
朝日新聞社総合研究本部長


 政権交代という現象は、政治権力を行使する中心的主体が入れ替わることを含意している。そのため、政権交代は政治の変化を生み出すメカニズムの中核的な存在であると認識され、その有無が民主政治の質の良否を左右するとまで見做されることも少なくなかった。
 しかし、すべての政権交代が十全な変化をもたらし得るわけではない。政権交代をめぐるルールや主体の問題によって、機能不全に陥ることもあり得る。また、一方ではグローバル化が進み、他方では近代代議制で捉えきれないサブ政治(U. ベック)の意義が高まりつつある今日、一主権国家の中央政府レベルという場における中心的主体の交代に着目する政権交代だけでは、政治や政策の変化を包括的に論ずることができなくなっていることも確かである。
 だが、だからと言って、政権交代が無意味になったと言い切れるのだろうか。グローバル化やサブ政治によって相対化されたとは言え、国家はなお社会を動かす正統性と権力の重要な源泉であり、それをコントロールする政権は主体間の利益調整やルールを左右する政治的決定の焦点・結節点となる枢要な場であり続けているのではないだろうか。そうであるならば、その巨大な権力の帰趨に重大な影響を与え得る政権交代の意味は今なお無視できるものではないはずである。問われるべきは、国家権力が相対化されつつある中で政権交代が政治的革新に及ぼし得る影響と限界の見極めであろう。
 以上の問題関心から、本巻では、欧州諸国を中心とした先進国における政権交代の実例を素材としながら、政治的革新をもたらすシステムとしての政権交代の動態・意義・限界を探っていく。