研究班
  • 政策システム理論
  • 政権交代班
  • 地方分権班
  • メディア班
  • EU班
  • 科学技術班

地方分権班(コーディネーター:金井) メンバー

金井利之

金井利之
Toshiyuki KANAI

事業推進担当者・
東京大学大学院法学政治学研究科教授

森田朗

森田朗
Akira MORITA

事業推進担当者・
東京大学大学院公共政策学連携研究部・教育部部長


寺尾美子

寺尾美子
Yoshiko TERAO

事業推進担当者・
東京大学大学院法学政治学研究科教授

大矢野修

大矢野修
Osamu OYANO

特任教授・
龍谷大学法学部教授


田口一博

田口一博
Kazuhiro TAGUCHI

特任講師・
横須賀市土木みどり部道路管理課

谷本有美子

谷本有美子
Yumiko TANIMOTO

特任研究員・
東京大学大学院法学政治学研究科


 本書は、国と自治体という複数の政府から構成される政府間関係システムに焦点を当てて、その変動を分析する。国と各自治体は、それぞれ単独で独自に政策を展開することも多いが、国と自治体に跨って総合に関連を持ちながら政策を展開することが普通である。国と自治体の間の関係のあり方自体の構造は、通常は、「中央集権」体制ないしは「地方分権」体制という形態で存在している。その構造自体をダイナミックに変化させようとする構造改革の一種としての「地方分権改革」について、特に、2000年前後の日本の「地方分権改革」に焦点を当てて、多面的に探究するものである。
 「地方分権改革」は、それ自体は(諸)政府の行動の営みではあるが、社会環境に対して直接的に働きかける「政策」そのものではない。しかし、「地方分権改革」は、各種の「政策」が展開されるところの国と自治体の相互関係のあり方に変更を加えようとする営みであり、典型的な構造改革の1つである。と同時に、そのような(諸)政府の行動である構造改革」は、それ自体が既存の各政府ごとの政策決定の構造や、他の「構造改革」に規定されている。このように、「地方分権改革」は、色々な政府の営みがが重層的かつ同時多発的に流動する領域であり、《政策システム》の腐朽と創出がなされる、複雑な「フィールド」となっている。
 そこで、本書は、このような複雑な領域である「地方分権改革」に関して、それに関わる「アクター」と、それらが意思決定を行うための「場」および「ルール」とに着目して、「地方分権改革」という多層・多発の複雑な領域を、いくつかのトピックごとに分節化して、その動態を分析しようとするものである。ときには政治的にホットな争点となる「地方分権改革」の展開を表層的に追跡するのではなく、国と地方の関係の地殻変動として構造的に捉える視座を提供し、学界および実務界の理解に一石を投じたい。