東京大学大学院法学政治学研究科・法学部

コラム6:プライバシー保護 -元相談学生の立場から-

学習相談室

コラム6:プライバシー保護 -元相談学生の立場から-

当相談室に限らず一般に相談活動を行う機関については、常に利用者のプライバシー保護が問題となります。当相談室については、国家公務員法100条により相談員に守秘義務が課せられ、また、いわゆる電子情報については行政機関個人情報保護法(略称)12条によっても守秘義務等が課せられています。

 

しかし、相談内容が外部に漏れなければそれで十分にプライバシー保護がなされているといえるでしょうか。一般に相談活動に従事する者には、いわば職業倫理としてプライバシー保護が求められているといえますが、その内容は上の法律による義務にとどまらないのではないかと思います。

 

実は、私自身かつて高校生の時に学校内の相談機関を利用した経験があるのですが、その際、少し後で相談員の先生の授業を受けることになり、先生が自分に話しかけて来ないか、常にひやひやしながら気詰まりな思いで1年間授業を受けていた記憶があります。その後、大学の教育心理の講義で「相談室外で利用者に会ってもこちらからは話しかけないというのがマナー」と教わり、「そうだったのか」とほっとしたのを覚えています。

 

そういうわけで、相談を受ける側になった今では、相談室で会った人に別の所で会っても自分からは声をかけないようにしています(単に気づいてないだけの場合も多い)。もっとも、相談室に来る人の中には、気軽に相談室を利用してくれて外であっても挨拶をしてくれたり、積極的に話しかけてくれる人もいて、それは相談員として嬉しいことでもあります。

 

この他、「相談室の向かいの演習室のドアを演習中も閉めてもらうよう依頼する」、「相談室から利用者に連絡する必要が生じた時に、本人の家族にわからないような方法で連絡する」、「本人の家族、特に親から本人が相談室に来室しているか問い合わせがあっても応じない(来室していない場合であっても)」等、十分なプライバシー保護のために気をつけることはたくさんあります。学生のみなさんがより安心して相談室を利用することができるように、なお一層プライバシー保護に細かく配慮していきたいと思っています。

 

(文章:横田)