2025年サマースクール・レポート
法科大学院2年 東舞子
「法制度の違いの理由を文化の違いで片付けてはいけません。なぜなら、異なる法域から学べることがなくなってしまうからです。」
これは、サマースクール前日に開催された日本法プログラム、”Introduction to Japanese Law”の授業の中で印象に残った一節です。サマースクール中、法制度だけでなく、たくさんの「違い」に触れた私にとって、この一言は、貴重な指針となりました。
私のサマースクールは、Sセメスターの定期試験最終日の翌日から始まりました。サマースクール正規課程の前日に開講された日本法プログラムに参加したからです。日本法プログラムでは、法科大学院の学生が、海外大学からサマースクールのため来日した学生とともに行動し、前述の講義や法律事務所訪問に参加します。私は、他の学生とオーストラリア国立大学の学生を担当し、東京都内の観光もアテンドして国際交流を楽しみました。
翌日からは、サマースクールの正規課程が始まりました。オーストラリアの学生と一緒に湯河原に移動し、研修施設で他の参加者と合流します。初日は、全体でOverviewとして、本年度のテーマである”Introduction to U.S. Law”を修得する心構えを学んだ後、3クラスに分かれてそれぞれの講義を受けました。その後3日間は3コマ、授業最終日は2コマの講義を受けます。
各講義は、6名のアメリカ法教授からインタラクティブな形で実施されました。各テーマは、アメリカ法の”Corporate Law and Governance”, “Speech and Press Protections”, “Federalism”, “Dispute Resolution”, “Regulatory”, “Taxation”です。日本法と違い、どのクラスでも連邦制に基づく連邦政府と州の権限分配が問題となることは、興味深い点でした。連邦制は、単なる地方分権ではなく、権力同士を競わせることで自由を確保する統治の仕組みとして、各分野における具体的な制度や解釈にまで深く影響を及ぼしていました。
また、サマースクール中は、授業内外で多様なバックグラウンドを持つ参加者と交流することができます。海外大学の学生、社会人、他の法科大学院生、そして、本学の学生も様々な経験を経てサマースクールに参加しています。
「さっきのクラスでなぜそう発言したの?」「あなたの専門分野から見て、一番面白かった講義は何だった?」「どうしたらあなたみたいに堂々と発言できるかな?」
たくさんの質問を参加者に投げかけました。自分とは違うと思ったことを、単に文化や性格の違いとして片付けず、異なる背景や価値観を持つ仲間の考え方を知ることは、とても勉強になりました。法科大学院のガラス棟を飛び出して、たくさんの「違い」に触れることで、法曹を目指すうえでとても大切な経験をすることができたと思います。
末筆となりましたが、海外よりはるばるお越しいただいた講師の先生方、プログラムが滞りなく進むようサポートしてくださった先生方、スタッフの方々、本プログラムをご支援くださったみなさまに感謝申し上げます。サマースクールで様々な「違い」から得た学びを社会に還元できるよう、これからも学びを深めてまいります。