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法科大学院のご紹介

法科大学院の現在・過去・未来

川出 敏裕
(法曹養成専攻長)

このホームページを見ていらっしゃる皆さんにとっては,法科大学院は,法曹養成の中核を担う機関として所与のものであろうと思いますが,その歴史は10年あまりに過ぎません。本学の法科大学院が開設されたのは,2004年の4月ですので,ちょうど干支を一回りしたことになります。その当時を振り返ってみると,研究者ではなく,法律実務家の養成を目的とした大学院の創設は,わが国では初めてのことでしたので,何から何まで手探りの状態でした。私は組織自体の立ち上げに関与する立場ではありませんでしたが,授業の担当者として,これまでとは全く異なる双方向授業を想定した新たな教材作りから始まり,授業の内容や進行について同僚の先生方と何度も議論を重ねたことを懐かしく思い出します。

いざ授業が始まってみると,毎回ほとんど徹夜で周到な準備をして臨んだつもりだったのですが,学生から想定外の回答がなされ,直ちにそれに対応できず言葉に詰まることもしばしばありました。授業の中で教員も鍛えられるということを実感したものです。学生は,例外なく熱心で,授業が終わっても,短くて1時間,時には2時間以上質問が続き,昼食をとる時間もないままに,次の会議に向かったことも少なくありません。教員だけでなく,学生の側にも,自分たちが新しい法学教育のかたちを実践しているのだという意識があったように思います。

こうして多くの期待を背負って始まった法科大学院でしたが,必ずしも,その後が順風満帆だったわけではありません。むしろ,現在は,法科大学院には逆風が吹いているといってもよい状況にあります。それぞれの法科大学院ごとに抱える問題は異なりますが,本学の法科大学院も,解決すべき問題に直面しているという点では,その例外ではありません。

法科大学院が創設された当時の研究科長が,ある場で,本学の法科大学院は,修了して10年経った修了者に「東京大学法科大学院で学んでよかった」と心から感じてもらえるような教育をするのだと仰っていたことを覚えています。学生の時は,どうしても目の前のことに目が向きがちになるものですが,私が普段交流している実務家の方と話をしていますと,長い目で見たときに、それぞれの分野で法律家として成長し、社会に貢献する仕事ができるかは、学生時代に、どれだけ幅広い分野に関心を持ち、発想の引き出しをどれだけ多く作れるかにかかっているように思います。本学の法科大学院は,それを実現できるような場であることを一貫して目指してきましたし,今後も,その方針を変えることはありません。私自身も,教員の一人として,学生の皆さんと一緒に,そうした場を作っていければと思っています。

「教育の理念及び目標」と「養成しようとする法曹像」について

教育の理念及び目標

国民や社会に貢献する高い志と強い責任感・倫理観を持ち、先端的法分野や国際的法分野でも活躍しうる、優れた法律実務家を養成することを目的とする。

養成しようとする法曹像

・「国民の社会生活上の医師」として、法律問題に表れた市民一人一人の悩みを真摯に受けとめ、その信頼できる相談相手となり、問題の解決を助ける使命感と専門的能力を備えた法曹を養成する。

 

・法の体系・理論・運用に関する基礎的・応用的知識を十分に習得するのみならず、それらを複眼的に理解したうえ、法律問題や法の課題を解決するために、自らの思考行動を発展させることのできる法曹を養成する。

 

・法の問題をその背景である人間や社会の問題とも関連させて、的確に把握したうえ適切な解決を図ることのできる、広い視野と鋭い分析力をもった法曹を養成し、また、社会経済のグローバル化・情報化によって急速に発展している先端的・国際的法分野においても活躍できる法曹を養成する。

Q:1クラス当たりの学生数や授業の進め方など法科大学院の授業の実情について教えて下さい。
A:基本的な科目についてはおおよそ60名で構成されるクラスに分けて授業を実施しています。ほとんどの授業は、双方向(対話)式で行われますので、受講者は予め課題について十分に予習して授業に臨むことが求められます。
Q:外国語で行われる授業がありますか。
A:コロンビア大学及びミシガン大学との提携による派遣教授やアメリカの他のロースクールの教授又は実務家を招へいして学期中に実施する「現代アメリカ法」、日本の実定法を英語で表現し論ずる「英語で学ぶ法と実務」、夏休み中に合宿方式で集中的に実施されるサマースクール(「グローバル・ビジネスロー・サマープログラム」)があります。これらの授業は、原則として英語で行われます。
Q:法科大学院では司法試験対策あるいは受験準備のサポート体制をとっていますか。
A:本法科大学院では、すぐれた法曹として求められる法制度や社会に関する理解力、問題発見能力、法的分析能力、創造的思考力などの理論及び実務基礎にかかる基幹的能力を身につけてもらうための教育を行うものであり、司法試験に合格してもらうこと自体を教育目的とは考えていません。実際にも、司法試験の受験対策的な授業・補習やサポート体制をとることはしていません。しかし、本法科大学院で提供されるカリキュラムを確実にこなしていけば、自ずから司法試験にも十分対応することができるものと考えています。
Q:法学未修者として入学後、在学中に法学既修者のコースに変更することはできますか。また、その逆はどうですか。
A:入学後においては、法学未修者から法学既修者へも、法学既修者から法学未修者へも、コースの変更はできません。
Q:私は社会人ですが、現在の職についたまま入学して学習することは可能でしょうか。
A:会社や官公庁などに在職のまま入学することも可能です。ただし、法科大学院での勉学に専念していただくために、会社や官公庁などに在職のまま入学する場合には、入学手続に際して、在学期間中学業に専念させる旨の勤務先の長の証明書を提出することが必要となります。
Q:入学金・授業料免除や各種奨学金の受給の実情について教えて下さい。
A:こちらをご参照ください。
Q:法科大学院において研究者教員と実務家教員との連携・協力の下に行われる教育とは具体的にはどのようなものですか。
主として法律実務基礎科目やビジネス・ロー関係科目について、研究者教員と実務家教員の連携・協力により授業が行われています。教材の準備から授業自体での教員相互の質疑など、連携・協力の形態は科目の性格に応じて多様です。
Q:法科大学院入学後の学習環境、とりわけ自習室の実情について教えて下さい。
A:法学政治学研究科・法学部では研究・教育・学習等の環境強化・整備のため、平成23(2011)年度から正門右手の法学部3号館・4号館およびガラス棟4階の増改築工事を実施し、平成24(2012)年9月に関連工事が完了しました。今回の増改築工事により、従来から運用している第2本部棟7階第2・3自習室(約200席)に加え、新たに4号館1階~3階に自習席が増設(約450席)され、法科大学院在学生一人ひとりに1席の自習机が配置されています。自習室は、午前7時から午後10時30分まで利用が可能で、年末年始を除いて、土曜日・日曜日も開室しています。同時に、模擬法廷教室が設置され、また、法科大学院関連書籍が法学部研究室図書室に集約され、それぞれ本格運用を開始しています。
Q:法科大学院修了後、研究者となるために博士課程に進学したいと考えていますが、法科大学院ではそのような学生のための教育を考えていますか。
特定の研究テーマについて教員の指導を受けながらリサーチペイパー(1万2000字以内が目安で、2単位が与えられます。)を書いたり、とくに博士課程への進学希望者など研究者を目指す学生が教員の指導を受けながら研究論文(10万字以内が目安で、6単位が与えられます。)を執筆する制度があります。これらのほか、多様な演習が開設されていますので、研究者を志向する学生の関心にも応えることができるでしょう。
Q:法科大学院には海外の大学等との交換留学制度がありますか。
A:現在のところ、交換留学制度や単位の互換制度はありません。
Q:法科大学院には弁護士事務所等へのエクスターンシップなど実習の制度がありますか。
A:現在のところ、エクスターンシップは実施していません。本法科大学院では、在学中には法曹に求められる理論及び実務基礎についての基幹能力を確実に身につけてもらうことが何よりも肝要だと考えており、在学中に現場での実習の経験をすることが法科大学院の教育にとって不可欠なものとは考えていません。もちろん、本法科大学院でも、多数の法律実務基礎科目が提供されており、その中には模擬裁判や法律相談クリニックなど実習に近い内容の授業科目も含まれています。
なお、東大法曹会の協力を得て、毎年、中小法律事務所による短期トレーニーを実施していますが、こちらは希望者のみ参加のプログラムであり、単位は付与されません。
Q:カリキュラムを見るとジェンダーに関する授業科目が見当たらないようですが、「ジェンダーと法」を課題とした授業科目の新設は考えていないのでしょうか。
A:ジェンダー問題自体をタイトルとする授業科目は現在のところありませんが、関連する各授業科目や演習などの中で、必要に応じて取り上げられることになると思います。

自己点検及び評価の結果の公表

修了者の活動状況の公表

資料(2017.6月 現在)

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