総合法政専攻のご紹介
専攻長ご挨拶
総合法政専攻とは何か
法学政治学研究科総合法政専攻のウェブサイトにようこそ。このサイトは世界へ向けて開かれていますが、このページを訪れる方の中には、本専攻への進学の可能性をお考えの人が少なくないのではないか、と推察します。ここでは主にそうした人々を念頭に、メッセージを送りたいと思います。
まず、総合法政専攻とは何か。大学院法学政治学研究科には、法曹養成専攻と総合法政専攻の2つの専攻が設置されています。実務法曹を養成する専門職学位課程として設置された前者の目的は明確でしょうが、総合法政専攻については聊か説明を必要とするかもしれません。かつては「研究者養成コース」という呼称が用いられていたこともあり、もっぱら修士課程・博士課程を一貫して法学・政治学の研究者(主として大学教員)を養成することを役割としていましたが、近年は、法曹養成専攻や公共政策大学院などの専門職学位課程から博士課程へ進学するケース、修士課程修了者が企業や政府関係機関に就職するケースなど、研究者と実務家の進路が交差し、多様性を増しつつあります。留学生の修了後の進路は、さらに多様です。
このことは、総合法政専攻で培われる法学・政治学の研究能力が求められる場が多様化し、実務の場でその重要性を増しつつあることを示します。今後は、実務家が最新の学問状況へのキャッチアップを意図して大学院で学ぶケースが増えることも期待されます。本専攻では、ビジネスローの理論と実務の高度化を担い実務との密接な連携のもとに高度な専門知識・能力を有する人材を養成する「先端ビジネスロープログラム」を導入するなど、そうした需要に応える態勢を整えつつあります。
実務からの要請に大学が応えることは、学問研究が実務に従属することを意味しません。大学院で研究の何たるかを学び、新たな知の地平を切り開く一方で、現実の世界に向かい合い、時流に掉さす浅薄な対応に陥ることなく、学問的に裏づけられた専門知を以て新しい事態に対処すること。そうした、実務との間の健全な緊張関係が、今後ますます重要になるはずです。
研究とはいかなる営みか
そもそも、法学や政治学を研究するということは、いかなる営みなのでしょうか。
実定法各分野の研究は、より具体的に特定された法学ないし実務上の主題をめぐって、自明視されてきたことの基礎を掘り下げ、見過ごされていた可能性の拡がりを発見することによって、知の領域を拡げ、さまざまな条件変化に対応する深く広い洞察を導くことを目指します。政治の諸分野も同様に、政治に関わる諸現象に、歴史的・地域的・理論的さまざまな方向から接近し、政治の持つ可能性を見通しつつ新たな洞察を導くことを目指します。
ここで日々企てられているのは、知と不知とを可能な限り厳密に分かち、その臨界条件を明らかにすることによって、知をより確かなものにすることです。長年にわたる法学・政治学の伝統を引き受け、先学の知と対決することによって自らの知を試し錬磨し、現実の問題との関わりの中にそれを位置づけ不断に更新し、人類の知の新しい地平を切り開いてゆくことなのです。
法学・政治学研究を志す人へ
研究は、新たな知への欲求に衝き動かされ、やむにやまれずすることです。研究者にとって、知の新しい地平を自ら切り開くことは純粋な喜びであり、新たな発見はそれ自体が何物にも替えがたい報酬です。多くの研究者はそうした喜びを求めて、自らを研究生活へと投入してゆくのです。
もちろん、そうした幸せな言葉で全てが丸く収まるほどに現実は甘くはありません。現代の制度化された学問世界において研究者としての道を選ぼうとすれば、制度的な要請に従い条件を充足する必要に迫られ、それにまつわる種々の苦難が待ち構えています。例えば一定の期限内に論文の完成提出を求められたり、研究以外の雑務に追われたり。しかし、新たな知を社会へと還元し社会の負託に応えることは、この制度の上で機会を与えられた者が担うべき責務です。実務との連携への期待が高まるにつれ、その責務はさらに重さを増してゆくに違いありません。
仮令平坦な道ではないとしても、ここには研究の場があり、法学・政治学のさまざまな主題を追究する人々がおり、知的刺激に満ちた切磋琢磨の機会が用意されています。法学と政治学を一つの学部・研究科の中に含むのは、世界的に見れば必ずしも一般的なことではないようですが、近現代世界において、法と政治とは互いに他方の基礎を提供し条件づける関係にありますから、互いの交流の中で、法学の研究者が政治を、政治学の研究者が法を理解することは、それぞれの研究に拡がりと深みを添えることになるでしょう。それが総合法政専攻の強みでもあります。ここに集う人々に、互いに刺激し合い支え合う関係を構築する場と機会を提供することが、本専攻の重要な役割なのです。
総合法政専攻のご紹介
大学院で学ぶということ
現代社会の多くの問題は、単に既存の知識を適用するのみならず、目前の問題を新たなコンテクストの中に位置づけ直し、多様な解決手法をこれまでにない形で組み合わせなければ対処できなくなってきています。そのためには、大学院における高度な研究の訓練、すなわち、新しい問題を自ら発見し、自立して方法的にそれと取り組む知的能力を培うことが必要であることが、世界では常識となりつつあります。「高度知識社会」は、大学院における高度な研究と、そこで教育を受けた修士・博士学位取得者たちによって先導されているというのが、世界の現状であると言っても過言ではありません。
日本においても、理科系を中心に、すでにかなり以前から大学院学生の増大が見られますが、上に述べたような世界の状況と比べると、大学院における学問的訓練の重要性に対する社会的認識は、まだまだ低いといわざるを得ません。しかし「グローバリゼーション」ということが意味するのは、まさしく、狭い日本一国内でしか通用しない特殊な常識に固執しても、もはや立ち行かなくなることに他なりません。国際的には「学士」の学位の社会的評価が低下する一方であることはよく知られていますが、日本においても、今まで以上に多くの領域で、単に学部の卒業証書だけではなく、大学院での研磨にもとづく深い学識が要求される時代が、将来必ずやってくるでしょう。それゆえ、研究者をめざす皆さんのみならず、世界の優れた人々と共に第一線で現実の諸問題と取り組みたいと考える皆さんも、ぜひ大学院で学ぶことを考えていただきたいと思います。
総合法政専攻とは
東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻には、実定法、基礎法学、政治という三つのコースがあり、いずれも修士課程と博士課程とから成ります。コース別の定員はありません。なお、入学試験については、こちらをご覧下さい。
<実定法コース>
公法・民刑事法にわたる日本の実定法諸分野について研究・教育するコースです。実定法領域で博士号をめざす人たちの多くは、法科大学院を経て総合法政専攻博士課程に進学することになります。ただし、学問の性質を考慮して、憲法(国法学を含む)及び国際法を専門分野する方々については、総合法政専攻の修士課程を経由して博士課程に進学する道も用意されています。なお、現行司法試験に合格している方は、法科大学院を経由することができないので、総合法政専攻修士課程入試の「B選抜」という枠が用意されています。さらに2年以上の法曹実務を経験した者については、修士課程を経ずに博士課程を受験することが認められています。
<基礎法学コース>
外国法、法制史、法哲学、法社会学などの分野を含みます。本研究科の一つの特色は、実定法と並んで基礎法学諸分野の研究教育が充実している点にあるといってよいでしょう。この分野を専門にする場合は、法科大学院を修了して博士課程に進学するほか、総合法政専攻の修士課程を経て博士課程に進学することもできます。
<政治コース>
広く政治にかかわる諸現象を歴史的・理論的に考察するさまざまな分野を含み、その地理的対象は世界中に及びます。またそこで用いられる方法や観点も多彩です。
<留学を希望する方々へ>
日本を代表する法学政治学系の研究・教育機関である法学政治学研究科には、世界各国から多くの優れた外国人留学生が集っています。外国人留学生は、志望するコースにかかわらず、総合法政専攻修士課程入試では「C選抜」という枠で受験することができます。また本研究科の外国人研究生を経由して総合法政専攻修士課程を受験することも可能です。(詳しくは「入学を希望する外国人の方々へ」のページをご覧下さい。)
総合法政専攻の教員
→教員紹介
総合法政専攻について(修士課程)
総合法政専攻修士課程について
東京大学大学院総合法政専攻修士課程(以下、「修士課程」と略します。)は、理論的・歴史的視野に立って精深な学識を養い、専門分野における研究及び応用の能力を培うことを目的としています。より具体的には、実定法コースにおいては、専門分野についての精深な学識を養い、特に比較の視点に立って研究及び応用の能力を培うことを目的としています。また、基礎法学コース及び政治コースにおいては、専門分野について理論的・歴史的な視野に立って精深な学識を養い、研究者としての能力を培うことを目的とします。また、外国からの留学生を広く受け入れ、修士号を得て帰国し、本国で活躍するような人を多数養成することをも重視しています。
修士課程は、実定法コース、基礎法学コース、政治コースに分かれていますが、所属コース以外の授業科目も広く履修することが可能です。入学者は、指導教員(教員の名簿はこちらをご覧ください。)の指導のもとに、これらの授業科目を履修し、修士学位請求論文の作成に努めることになります。
教育課程
修士課程の標準修業年限は2年(東京大学大学院学則第2条第5項)、休学期間は2年を超えることができません(同第29条第1項第1号)。修士課程に2年以上在籍し、必修単位12単位及び選択科目18単位以上を履修し、必要な研究指導を受け(法学政治学研究科規則第4条第1項)、修士の学位論文審査及び最終試験に合格することによって、修士課程を修了したことになります(東京大学大学院学則第5条第1項)。
なお、職業を有している等の事情により、修士課程の標準修業年限を超えて一定の期間にわたり計画的に教育課程を履修し課程を修了することを希望する方は、その計画的な履修が認められる場合があります(東京大学大学院学則第2条第7項)。ご相談下さい。
修士課程には、法学・政治学の広範な分野に及び多数の授業科目が提供されています。(今年度の授業科目は、 をご覧下さい。)また、指導教員の承認を得て、他の研究科または教育部の授業科目を履修することもできます(法学政治学研究科規則第4条第3項)。
修士課程 各種資料
総合法政専攻について(博士課程)
総合法政専攻博士課程について
東京大学大学院総合法政専攻博士課程(以下「博士課程」と略します。)は、理論的・歴史的視野に立って精深な学識を発展させ、法学、政治学の分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を培うことを目的としています。博士課程は、従来、法学・政治学の分野で、日本の研究を指導する研究者を養成する中心的な教育機関としての役割を果たしてきましたが、現在は、研究者の養成と共に、研究者以外の高度に専門的な業務に就こうとする方々の研究能力を育てることをも目的として掲げています。また、外国からの留学生を広く受け入れ、博士号を得て帰国し、本国で活躍するような人を多数養成することをも重視しています。
このように、博士課程は、現代世界において高度な学術研究の必要性がますます高まっていることを前提として、高度な研究能力を備えた研究者や専門職業人を養成し、世界に送り出していく教育課程なのです。
博士課程は、実定法コース、基礎法学コース、政治コースに分かれていますが、所属コース以外の授業科目も広く履修することが可能です。入学者は、指導教員(教員の名簿はこちらをご覧下さい)の指導のもとに、これらの授業科目を履修し、博士学位請求論文の作成に努めることになります。
教育課程
博士課程の標準修業年限は3年(東京大学大学院学則第2条第5項)、休学期間は3年を超えることができません(同第29条第1項第1号)。博士課程に3年以上在籍し、必修単位10単位及び選択科目10単位以上を履修し、必要な専攻指導を受け(法学政治学研究科規則第5条第1項)、博士の学位論文審査及び最終試験に合格することによって、博士課程を修了したことになります(東京大学大学院学則第6条第1項)。
なお、職業を有している等の事情により、博士課程の標準修業年限を超えて一定の期間にわたり計画的に教育課程を履修し課程を修了することを希望する方は、認められる場合があります(東京大学大学院学則第2条第7項)。ご相談下さい。
博士課程には、法学・政治学の広範な分野に及ぶ多数の授業科目が提供されています。(今年度の授業科目は、
をご覧下さい。)また、指導教員の承認を得て、他研究科の授業科目を履修することもできます(法学政治学研究科規則第5条第3項)。博士論文について
総合法政専攻博士課程で学ぶことの最終目標は、博士論文の完成です。
これはもちろん、それほど達成の容易な目標ではなく、粘り強い努力の積み重ねが必要とされますが、博士課程では、できるだけ多くの水準の高い博士論文が作成されるよう努めています。令和元年度は8人、令和2年度は13人、令和3年度は9人の学生が博士論文を完成して博士課程を修了し、博士号を取得されました。( をご覧下さい。)また、自立して研究する能力を証明するにとどまらず、学界に大きく貢献する特に優れた論文を書いた者には「特別優秀賞」が授与されます。
博士課程 各種資料
- 令和6(2024)年度博士課程入試結果
- 令和5(2023)年度博士課程入試結果
- 令和4(2022)年度博士課程入試結果
- 令和3(2021)年度博士課程入試結果
- 2022年度在籍者数
- 教員名簿
- 授業時間割