東京大学大学院法学政治学研究科・法学部

2019年サマースクールレポート その2

法曹養成専攻

2019年サマースクールレポート その2

 

3年 西田 更良

 

サマースクールで印象に残っているのは、ともに過ごした時間の積み重ねから生まれたコミュニティです。緩いつながりを持って楽しみ学びあえる場が、参加者それぞれ、先生方、事務局の方々の想いによって作り出されたように感じました。

私はサマースクール前日の日本法プログラムから海外学生参加者の案内・説明の補佐をする機会を頂きました。日本法入門の授業では憲法9条を中心にたくさん質問が出たのが印象的で、他の国ではどうなっているのか、互いに教えあうとても興味深いものになりました。また、各国の法曹養成課程では重視される事柄の違いにより全く異なる制度が採られていることを知り、当事者である学生の、制度に対する問題意識を聞くこともできました。

サマースクールの会場である研修所に移ってからも、ロースクール生は少なかったですが、その分肩書を超えた交流がたくさんできたように思います。試験の前日の夜遅くには、仲良くなった仲間とゼミ形式で授業を振り返り、とても濃密で刺激的な時間を過ごすことができました。私自身は夜な夜な発生した会話の場にあまり参加することができませんでしたが、特に海外からの学生は何事にも積極的で、その姿勢を見習いたいと強く感じました。やるべき時はみんなで助け合ってやる、楽しむときは全力で楽しむというワークエシックに触れたことは、自分の司法試験への向き合い方を改めて振り返る良い機会となりました。

そして、本丸である講義もとても充実したものでした。先生方は各々関心を持たれている題材を基本から分かりやすく説明してくださり、予習の分量が多く大変ではあったものの、毎回ワクワクして授業を受けていました。個々の授業の間には緩いつながりがあり、支配・少数株主間のエージェンシー問題など、同じ問題を様々な観点から検討することの醍醐味や知的興奮を感じることも多々ありました。元々私は将来企業法務を中心に仕事をするつもりはなく、勝手に会社法にとっつきにくさを感じていました。しかし、Kang先生や、Barker先生の授業では新鮮な観点から会社法を見つめ、Ringe先生、Buhart先生、Puchniak先生の授業では制度を所与のものとして動く人々の存在を具体的にイメージさせられ、制度論の重要性について考え、Milhaupt先生の授業ではアメリカのロースクールの授業のスピード・臨場感を疑似体験し、学ぶことの喜びを存分に感じることができました。サマースクールに参加した大きな理由は、会社法への苦手意識を克服し、新しい世界に飛び込んでみることでしたが、先生方は気さくに質問に答えてくださり、食事もご一緒させていただけたことで、いつの間にか好奇心が先行するようになりました。このように先生とつながるハードルが高くないのもサマースクールの魅力だと感じました。

この場に身を置くことでできた「緩いつながり」や、新しいことを学ぶワクワク感を大切にし、これからも食わず嫌いをせず、広くアンテナを張りながら、勉強に励んでいきたいです。