東京大学大学院法学政治学研究科・法学部

2019年サマースクールレポート その1

法曹養成専攻

2019年サマースクールレポート その1

2019年度サマースクールについて

 

法曹養成専攻長 橋爪 隆

 

 

東京大学法科大学院は、国際的に活躍できる法律家の育成を目標の1つとしている。その目標に向けたプロジェクトのひとつが、サマースクールであり、法科大学院を開設した2004年以来、毎年開催している。16回目である2019年度は、8月6日(火)から11日(日)までの5泊6日の日程で、静岡県にある企業の研修施設をお借りして実施した。豊かな自然に囲まれた環境のもと、充実した施設を全館借り切っての合宿形式であり、英語で学ぶには絶好の機会である。

 

参加者は、東京大学法科大学院の学生25名、総合法政専攻の学生8名、法学部の学生7名、北京大学、ソウル大学及びシンガポール大学の学生計9名、企業法務部や法律事務所に勤務する専門職業人8名の計57名である。講師は、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアの著名な大学教授や弁護士6名をお招きした。授業のテーマは年度によって異なるが、今年度は、「Global Trends in Corporate Governance and M&A」とし、それぞれの諸国における最新の動向を踏まえて、様々な角度から問題を取り上げた授業をしていただいた。

 

参加者は、1日目の正午前に現地に到着し、オープニングセレモニーの後、さっそく同日の午後から、今回のテーマの全体を鳥瞰する授業と、各講師による個別の授業を受けた。各講師による授業は、参加者を3クラスに分けて実施された。1日目の夜にはウェルカムパーティが開催され、多彩な参加者間で交流を図る姿が見られた。その後、初日の授業も含めて、5日目の午後までに、115分の授業が各クラス計13コマ行われた。そして最終日の午前10時から午後1時までが、試験である。問題は、全講師の授業分を対象として英語で出題され、英語で解答するものであり、これに合格すると2単位が認定される。試験終了後、午後2時からフェアウェルパーティが開催され、終始なごやかな雰囲気の中、参加者は、別れを惜しみつつ、将来の実りある再会を誓ったのである。期間中の夜にも、遅くまで、参加者間で飲み物を酌み交わしながら交流する様子も見られ、このサマースクールが、これからの末長い交流のきっかけとなるものと思われる。

 

サマースクールは、東京大学法科大学院の学生にとって、世界が広く多様であることを知る何よりの機会であると同時に、外国からの学生や専門的職業人の方々に、東京大学法科大学院を知っていただく貴重な機会でもある。法科大学院は、様々な問題に直面しており、その解決が迫られているが、東京大学法科大学院としては、今後も、広く長期的な視野から、このサマースクールを大事にしていきたいと考えている。なお、今年度から、法学部教育の国際化の一環として、サマースクールを法学部の学生にも開放したが、上記のとおり、7名の参加者を得た。サマースクールが、今後、法科大学院・法学部の学生が国際的な問題について、共に学び、考える機会となることを強く期待したい。

 

サマースクールは大規模なプロジェクトであり、多方面の方々のご厚意・ご尽力があってはじめて成り立っている。この場を借りて、お世話になっている全ての皆様に厚く御礼を申し上げたい。